ここ最近では、グローバル化の流れが進んできており、企業の海外進出が増えてきましたね。
そこで重要となるのが、「海外駐在員」という存在。
海外進出が増えれば海外駐在員の数も増え、それに伴い、皆さんの中にも海外駐在員に興味を持たれる方が多くなってきているのではないでしょうか。
ここでよく出てくる疑問の1つとして…
本記事を読むことで海外駐在員になったときのお金の疑問を解決し、海外駐在員になったときの生活のイメージを持つことができると思います。
本記事はメーカー駐在員としての経験をベースとしています。
ではさっそく見ていきましょう。
海外駐在員の給料水準
一般的に海外駐在員になったらどのような給料水準になるのでしょうか。
ひと昔前は「海外駐在員になったら家を建てられる」といった時代もあったようですが、最近はどの業界も業績が悪くなってきているので、その当時の水準とまではいかないようです。
とはいえ、国内での給料よりは確実に高い水準で給料を得られるのは間違いないです。
企業や業界により状況が変わるのは大前提ですが、手取りベースでみると1.3倍~1.8倍程度の水準になるのではと思います。
海外駐在員の給料事情
では具体的な例を見ていきましょう。
実例:自身が30歳の時のケース
私が30歳だったときの例をモデルケースに見ていきましょう。
結論から言いますと、月の手取りベースで見ると、日本でもらっていた手取りと比べると、約1.6倍でした。
具体的な情報
駐在前:手取りベースで約20万円(国内給与のみ)
駐在中:手取りベースで約33万円(国内+海外給与)
為替レートもあるので、正確には記載が出来ないのですが、それでもだいたいはこのくらいの水準で頂いてました。
ボーナスを加えて、年ベースでの手取りはだいたい600万弱(33万×12+ボーナス)という水準です。
海外ではボーナスはなかったので、ボーナス分での割り増しはほとんどありません。
なぜそれほど増えるのか?
なぜ海外駐在員は貰える給料がそんなに増えるのでしょうか。
それは収入の部分と支出の部分の両面で恩恵を受けられるからです。
収入については上記通り、国内給与と海外給与の両方から給料が得られるため、純粋に収入が増えます。
時に為替の恩恵を受けることもできます。(もちろん逆もありますが…)
支出についてですが、実はこちらで受ける恩恵が非常に大きく給料水準の向上にかなり効いているのですが、海外駐在員は出ていくお金がかなり減らすことができます。
ココがポイント
・国内と海外両方から給料がもらえる
⇒入ってくる給料が増える
・豊富な福利厚生を得られる
⇒出ていくお金が抑えられる
海外駐在で抑えることができるお金
海外駐在員になったら受けられる最大のメリットでもある、出ていくお金に関して、一体具体的にどのようなお金が抑えられるのでしょうか。
どんなお金が抑えられるの?
・税金
・住宅関連
・車・ガソリン代
・医療費
・教育費
・その他
外国語習得、一時帰国、買い物支援、引っ越し、家具購入補助
1つずつ見ていきましょう。
税金
海外駐在員となると基本的には日本において非居住者となり、赴任のタイミングにもちろんよりますが、所得税や住民税を払う必要がなくなります。
メモ
住民税は、前年(1/1~12/31)の所得に対して、1月1日に住んでいる市区町村で課税されることになっているため、赴任のタイミングによってはしばらくは住民税を支払うことになります。
日本での税負担が実質ゼロになり、恩恵を受けられる一方で、駐在先で所得が発生するのでこちらで納税の義務が出てきます。しかし、会社が税金を負担してくれるケースが多く、やはり海外駐在員個人単位では税金の面で優遇されます。
住宅関連
赴任先での住居に関しては、駐在員自身やそのご家族に危険があってはいけないので、基本的には安全なエリア、そしてセキュリティの高い物件に住みます。
そうすると、特に都市部では一般サラリーマンでは考えられないような家賃の物件に住むケースもありますが、基本的には家賃や水道、光熱費といった費用を会社が一部もしくは全額負担してくれることが多いです。
私が住んでいたマンションは会社負担の上限を少し超えていたので、少し足が出ていましたが、ガレージ含めて9割以上は会社が負担してくれていました。
車・ガソリン代
駐在する国によりますが、車が無いと出勤もままならないような国に赴任すると、会社から車が支給されます。
その車自体の費用、自動車関連の保険費用、ガソリン代は会社負担となります。ガソリン代に関してはもちろん業務内での使用に限られますが。
医療費
海外で暮らしていくにあたって、適切な医療がしっかり受けられるかどうかは不安要素の1つ。
そんな不安を軽減するためにも私の会社では医療保険に入っており、海外駐在員は無料で現地の医療を受けることができました。この保険では歯や出産もカバーしていたため、現地で出産されるケースもありました。
翻訳サービスも提携していたので、日本語で安心して医療を受けることも出来ていました。
教育費
お子さんがいる家庭では現地の幼稚園、現地校、インターナショナルスクールへ通わせないといけないですが、その学費についても会社が負担してくれます。
その他
上記の他にも、出ていくお金を抑えられる補助は色々あります。
異国の地で最低限のコミュニケーションをするために現地の言葉を習得する必要が出てきますが、その外国語習得のための学習費用。日本へ一時帰国するための費用。日本食を手に入れるのが難しい国に限られますが、近隣の国へ買い出しにいくための費用。赴任先へ引っ越す際の費用、日本へ戻る際の引っ越し費用、さらに赴任先や帰任先で生活を立ち上げるための家具家電の購入補助。など細かい部分でも会社が負担してくれる場合があり、出費を低く抑えることができます。
赴任する国や企業・業界によって状況は変わります
ここまで実例を出しながら説明をしてきましたが、冒頭でもお伝えした通り、入ってくるお金、出ていくお金ともに、所属する企業や業界、赴任する国によって大きく状況は変わります。
商社や金融系ですと、やはり入ってくるお金も比較的多くなると思います。そこは日本国内での給与水準と比例するのだと思います。
車が必要な都市へ赴任すると車が支給されますし、都市部へ赴任するとセキュリティがしっかり確保されたエリアに住めることもあります。物価の安い国だと、ドライバーやお手伝いさんがつくケースもあります。
このように業界的に高い給料水準であっても意外と出費が多く手取りが少なくなったり、逆に業界的には比較的さほど高くない給料水準でも様々な補助がついて出費を抑えられて手取りが多くなったりします。
まとめ 海外駐在員になると手取りが多くなり、お金が貯まりやすくなります
海外駐在員になると、入ってくるお金が増えるだけでなく、出ていくお金をかなり減らすことができるため、自然に手取り額が多くなるという仕組みになっています。手取りの額面で見ると控えめに言っても、サラリーマンの中でも非常に高い水準の額といってもいいでしょう。
基本的には出費は「食費」と「娯楽費」のみに限られるで、ここで使いすぎることなければ自然とお金は貯まっていきます。
年収アップ(手取り額アップ)、資産形成を実現するために海外駐在員になるということは1つの有効な手段となると言えます。
さらにお金の面だけでなく、海外駐在で得られる「経験」や「スキル」もお金には換えられない非常に貴重な資産となり、将来のキャリアに大きく、そして有利に働くことになります。
ぜひ海外駐在員というキャリアについても検討、または狙ってみるのはいかがでしょうか。
今後の記事では、海外駐在員になるための方法についても一緒に考えていきたいと思います。